「0」について調べてみると、いろいろ面白い話があります。インターネット上には、「0の発見」などと「発見」という言葉で表現されていたものもありました。「0」の起源については、今回は触れませんが、「何もない」数の「0」をお子さんたちにどう教えてあげたらよいか考えていきましょう。
1.「0」になるゲーム
お子さんとお母さんで、「ジャンケンゲーム」はいかがでしょうか。例えばタイルを3個ずつ持ち、ジャンケンをして勝ったら、タイルを相手にあげるのです。早くタイルがなくなった方が勝ちです。あるいは、勝ったら1個もらって、相手のタイルを全部取ったら勝ちでもかまいません。ルールは、お子さんと考えてみてください。
手元に「何もない」状態になったとき、「0個」(れいこ)と表現します。いきなり「0」を教えるよりは、物の動きがあるなかで「何もない」状態が生まれたときを体験する方が、お子さんも理解しやすいように思います。
お子さんとお母さんで6個のタイルがありますから、1個と5個になった時には、「リーチ」を宣言してみるのもよいですね。このとき、5個をびんづめからかんづめにすると、「5のまとまり」を復習できるかもしれません。
2.「0」のたし算
たし算は合併で教えていきましょう。
問題文1:左のお皿にみかん3個、右のお皿に2個あります。あわせて何個ありますか。
みかんはタイルで代用してもかまいません。タイル図をもとに、式と答えを表していきましょう。
問題文2:左のお皿にみかん3個、右のお皿に1個あります。あわせて何個ありますか。
問題文3:左のお皿にみかん3個、右のお皿にはみかんがありません。あわせて何個ありますか。
問題文4:左のお皿にみかんはありません。右のお皿にみかんが3個あります。あわせて何個ありますか。
問題文5:左のお皿にみかんはありません。右のお皿にもみかんはありません。あわせて何個ありますか。
3.「0」のひき算
ジャンケンゲームや「求残」の問題で、「0」のひき算を学習しましょう。
例えば「求残」では・・・
問題文1:みかんが3個あります。兄が2個たべました。いくつ残っていますか。
下の三角関係図で、操作活動の部分は、3個あるうち取り去る2個を裏返して、「もとの数」「取り去る数」「残りの数」を意識した図になっています。
問題文2:みかんが3個あります。兄が1個たべました。いくつ残っていますか。
問題文3:みかんが3個あります。兄はたべませんでした。いくつ残っていますか。
4.「0」をたしたりひいたりしても
あとは、「5+0」「0+5」「4+0」「0+4」・・・や「5-0」「4-0」「3-0」など計算練習をします。慣れてきたら、たし算やひき算を混ぜるとよいですね。
そのうち、お子さんは、「0」をたすときはもう一つの数がそのまま答えになることや、「0」をひくときはひかれる数が答えになることを理解して、パッパッと答えを出すかもしれません。そのような時は、「どうして?」と問い、「だって・・・」の言葉を引き出してあげてください。「だって・・・」の次にくることばの中に、数学的な考え方が含まれることがあります。お子さんの考える力を豊かにしてあげましょう。
5.最後は問題作りで
最後は、式をもとに問題作りに取り組みましょう。
「5+0」「0+5」「5-0」「4-0」・・・など、式を与えて問題文を作ります。「0」の場面がどんなときなのか、意味理解を深めることができます。
大人にとって「0」は簡単なようですが、冒頭でもお話したように「0」は「発見」された他の数とは違う特別なもののようです。子どもの思考に寄り添って、焦らず指導してあげてください。