今回は、あまりのあるわり算について、あまりからわり算の意味を考えてみたいと思います。
1.わり算の3つの意味
あまりについて考える前に、わり算の意味について確認しておきましょう。
わり算には3つの意味があると考えています。「等分除」「包含除」「倍」の3つです。
(1)等分除
典型的な問題文としては、
「みかんが12個あります。4人に同じ数ずつ分けると、1人分は何個ですか。」
「同じに分けて1あたり量を求める」わり算です。助数詞や単位をつけて式を表すと、
12個÷4人=3個/人
となりますね。
4人で等しく分けられるので、必ずもらえます。あとは、「いったい、いくつもらえるのだろう」と期待しながら待ちますので、「ワクワク算」などと表現する場合もあります。
(2)包含除
典型的な問題文としては、
「みかんが12個あります。1人に4個ずつ配ると、何人に分けられますか。」
「1あたり量で分けていくつ分かを求める」わり算です。式に表すと、
12個÷4個/人=3人
となりますね。
今度は何人にもらえるのかわりませんから、多人数の場合には自分がもらえるのかわかりません。不安な気持ちになりながら待ちますので、「ドキドキ算」などと表現する場合もあります。
(3)倍
「(比較量)÷(基本量)=(倍)」で比べて、拡大・縮小を求めるわり算ですね。「倍」については、教科書で単元として扱われておらず、断片的な指導内容となっているのではないかと感じています。
丁寧に指導するならば、本来は、「操作の倍」「関係の倍」「分布の倍」の3つの意味があるととらえています。
典型的な問題文としては、「操作の倍」の場合、
「50㎝の赤ちゃんが150㎝に成長しました。何倍に成長しましたか。」
というように、そのものの拡大・縮小です。
式で表すと、
150㎝÷50㎝=3(倍)
となります。
「関係の倍」の場合、
「5mのテープの長さは、2mのテープの長さの何倍ですか。」
というように、2量を比べて拡大・縮小の関係を数値で表すものです。
式で表すと、
5m÷2m=2.5(倍)
となりますね。
「関係の倍」が難しいと感じるのは、2量を比べますので、お子さんにとって「何が何の何倍か」をとらえるのが難しいことです。
先の問題では、2mのテープを基にして5mのテープを倍で表現するわけです。しかし、当然、逆の比べ方もあります。
「2mのテープの長さは、5mのテープの長さの何倍ですか。」
「5mのテープの長さの何倍が、2mのテープの長さになりますか。」
「5mのテープの長さを何倍すると、2mのテープの長さになりますか。」
微妙な言い回しですが、上の3つの文章はすべて5mのテープの長さを基にしています。子どもたちは、何が基となる量かよりも、大きな数値を小さな数値で割ってしまうときがあります。問題文が与えられたときに、日本語を言い換えて何が基になる量かを確認してあげることも必要かと思います。
2.あまりの見方について
わり切れるわり算のあと、あまりのあるわり算を学習していきます。まずは、等分除であまりが出ることを知り、あまりの意味を理解していくようです。
例えば、
「14個のみかんを4人で分けるとき、何人に分けられて何個あまりますか。」という問題では、
14個÷4人=3個/人あまり2個
などと表現します。
このとき、いつも述べているのですが、式に助数詞や単位をつけて表した方が理解が深まると考えます。
たしかめ算なるものをするときも、
3個/人×4人+2個=14個
となります。
助数詞や単位をつけずに式に表すと、
14÷4=3あまり2
この「あまり2」が何なのか理解できず、「2人」と勘違いする子どもも出てきます。必ず「あまりが何を表しているのか」を助数詞や単位の視点から確認してあげてください。
また、等分除については、みんなに平等に配るわり算です。「14個のみかんを4人で分けるとき、何人に分けられて何個あまりますか。」という問題を、「何個あまりますか」よりも「平等に配るには、何個たりないか」の視点で考えるのも生活と結びついて面白いかもしれません。
算数の解答としては「4人に分けられて2個あまる」で丸がもらえるのですが、「4人に分けられて2個たりない」や「5人に分けるには2個たりない」「あと2個あれば5人に分けられる」などと豊かに表現することで、ものの見方・考え方が深まるのではないでしょうか。
3.あまりのあるわり算のポイント①
今回確認したかったことは以下のことです。
・式と答えに単位や助数詞をつけて考える。
・あまりを「あまる」「たりない」の言葉を使って、いろいろ表現してみる。
次回は、包含除のあまりのあるわり算について確認していきましょう。