前回について、あまりのあるわり算についてのお話です。
1.包含除のあまりについて
典型的な問題としては、
「33人の子どもが、長椅子に5人ずつ座っていきます。みんなが座るには、長椅子が何脚いりますか。」という問題です。
「33人」が「全体の数」、「長椅子に5人ずつ座る」ので「5人/脚」となり、「1あたり量」でわって「いくつ分」つまり「長椅子の脚数」を求めます。よって、包含除となります。
これまででしたら、「何人座れないでしょうか。」というような問題になるところ、「何脚いりますか」と尋ねられています。
式と答えは、
33人÷5人/脚=6脚あまり3人
となります。あまりについては、図などを用いてしっかりととらえられるとよいですね。
図は3つ準備しましたが、こどもたちは書き足していけばよいと考えます。
図については、理解を深めるために活用しましょう。「図を完璧にかくまで、式と答えはかいちゃダメ!」というわけではなく、式で表そうにも表せないとか、表したけどあまりの意味がよくつかめないとか、そんなときにぜひ図を用いて確かめてみましょう。
2.よくある誤答
よくある誤答は、
33÷5=6あまり3
ここまではよくできるのですが、あまりを3脚ととらえてしまい、安易に「6+3=9」、答えは「9脚」などと答えてしまうことがよくあります。
「1あたり量の5人ずつ」「商の6脚」「あまりの3人」を単位や助数詞とともにとらえていくことが大切です。あとは、生活体験と結びつけて、「3人がたつのはかわいそう」「3人のために長椅子がもう1脚必要だ」と情意面に訴えることも大切ですね。
3.問題の数値を変えてみる
算数の授業においては、時間も限られるため、長椅子の問題が終わったら、次は別の物の問題に移ることが多いようです。しかし、最初の子どもの人数を変えて、いろいろなあまりで長椅子が1脚必要なことを掘り下げることも大切だと考えます。
「33人の子どもが…」を
・34人の場合・・・6脚あまり4人で、4人が座るためにもう1脚必要 合計7脚
・35人の場合・・・7脚あまり0人 全員座れる 合計7脚
・36人の場合・・・7脚あまり1人 1人が座るためにもう1脚必要 合計8脚
・37人の場合・・・7脚あまり2人 2人が座るためにもう1脚必要 合計8脚
・38人の場合・・・7脚あまり3人 1人が座るためにもう1脚必要 合計8脚
あまりが1人~4人のいずれの場合も1脚必要だということを理解する必要があります。
「長椅子に5人ずつ」にも注目して、「4人ずつ」や「6人ずつ」などと数値を変えてゆさぶってみるのもよいかもしれません。
そのうえで、物を変えてやってみるとよいでしょう。
最後は、次のようなあまりを考えない問題にチャレンジです。
「30㎝の幅の本棚に、厚さ4㎝の本は何冊並びますか。」
「1冊あたりの厚さが4㎝」ですので、これが「1あたり量」となります。
30㎝÷4㎝/冊=7冊あまり2㎝
答えは7冊となり、あまりの2㎝は考えませんね。2㎝の幅には4㎝の幅の本がもう入らないと判断できるからです。ぜひ、生活体験と結び付けて、お子さんといろいろな物であまりのあるわり算に挑戦してみてください。
4.あまりのあるわり算のポイント②
あまりのわり算についてまとめます。
・問題文で与えられた数値を変えてみる。
・問題文で与えられた物の種類を変えてみる。
・あまりが商に影響する問題からあまりが商に影響しない問題へと学びを進める。
最初のまとめで、数値を変えることについては、問題文に何か所かあると思いますので、いろいろやってみましょう。2つ目、3つ目のまとめは、「長椅子」の問題や「本の厚さの問題」を意味しています。
わり切れるわり算よりもあまりのあるわり算の方が、生活の中ではよくみられるかもしれません。ぜひ、生活体験と結びつけて学びを深めていきましょう。