今日からひき算についてお話しようと思います。
ひき算はたし算の逆算となりますが、とても奥深いなあと感じます。ひき算の意味を考えると、ただ引けばいいということではないのです。そういうと身構えられるかもしれませんが、大丈夫です。ここも操作活動を取り入れながら考えていきましょう。
1.ひき算の3つの意味
ひき算には3つの意味があります。私は、「求残」「求補」「求差」の3つであるととらえています。
求残・・・「とった残り」を求めること。
求補・・・「残りの部分」を求めること
求差・・・「ちがい」を求めること。
求残と求補は、たし算の操作活動の逆をすれば良いです。求差は、2量のちがいに目をつける「2量の関係」の問題になりますので、子どもたちにとって、理解は難しくなります。大人は、そのような子どもたちの気持ちに寄り添う必要があります。
2.教科書では
求残が「のこりはいくつ」、求差が「ちがいはいくつ」というようなキーワードで表現され、それぞれ小単元を立てて指導することになっています。
ここで、教科書に課題があります。求補が取り上げられていません。実は、求補の問題が求残の小単元の中にひっそりと入り込んでいるのです。具体的な問題をあげてみましょう。
求残の問題
「鳥が7羽、木に止まっています。2羽飛んでいくと、残りは何羽になりますか。」
「残りは何羽?」と問われていますので、考えやすいです。
「のこりはいくつ」の小単元の中で、このような問題が続く中、突然、次のような求補の問題が出てきます。
求補の問題
「8人の子どもがいます。男の子は5人です。女の子は何人ですか。」
男の子たちがその場を立ち去るわけではありません。集合のように考えると、全体の子どもの集合のうち男の子の集合を除くことで、残りの女の子の集合が見えてきます。求補と言われるゆえんかなと思います。この頃の小学1年生はキーワードに頼ることが多いですので、問題の中の物や人に動きがなく、「残りは?」とも問われない問題にやや戸惑います。ただ、答えは出せます。多くの子どもたちが「3人」と答えます。ですが、ひき算としてではなく、「5人+3人=8人」だから「3人」というように、たしかめ算のような計算をして答えを導き出す子どもがとても多いのです。
実は多くの教師がここで悩んでいます。なかなか、子どもたちにひき算であることを理解してもらえないでいます。
私は、求残と求補の問題をしっかり小単元を立てて指導すべきではないかという考えでいます。丁寧な指導が必要です。
3.求差について
求差の意味理解も難しいと先ほど述べました。例えば、求差の問題は次のようなものです。
求差の問題
「りんごが6個、みかんが4個あります。りんごの方が何個多いですか。」
このような問題を、「ちがいはいくつ?」というようなキーワードで指導していきます。大人は、すぐにひき算であると判断できます。ですが、子どもの中には容易にひけないと考える子もいます。「りんごからみかんをひいてよいのか?」と。
このような子どもたちの素朴な疑問や思考に寄り添う必要があります。なぜ、この場面でひいてよいのかを納得してもらわなくてはなりません。
4.ひき算の3つの意味を概観して
いかがですか。ひき算といっても、3つの意味があり、現行の指導では少し課題があります。
次回から、それぞれの指導についてみていきましょう。また、最後には逆算であるたし算との関係を概観することで、さらにひき算の意味理解を深めたいと思います。やや難しいと感じられたかもしれません。大丈夫です。操作活動で体を通して理解していきましょう。